ドイツの花粉症サバイバルガイド:年末から始まる植物たちの生存競争

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ドイツにも、日本と同じく(あるいはそれ以上に)激しい「花粉症」の世界があります。 驚くべきは、その種類の多さと期間の長さ。ドイツの植物たちが生存競争を繰り広げるかのように、早いものではなんと年末から花粉を飛ばし始めるのです。

今回は、ドイツ在住の私が経験した花粉症の実態と、備忘録を兼ねた「アレルゲン植物リスト」をご紹介します。

これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

目次

ドイツの花粉カレンダー:いつから、いつまで?

場所や天候に左右されますが、暖冬の年は早くも年末からアレルギー反応が出始めます。 私の場合、早ければ12月末から、遅いと秋口まで。ほぼ一年中、何らかの花粉と戦っている計算になります。

また、厄介なのが口腔アレルギー症候群(OAS)です。花粉症の時期だけ、特定の野菜や果物を食べると口の中や耳の奥が痒くなることがあります。私にとっては「これを食べたら危ない」という体からのサイン。この時期の食生活には細心の注意を払っています。

植物名 (独/日)1212345678910特徴
Hasel (西洋ハシバミ)1〜2月がピーク。最も早い。
Erle (ヨーロッパハンノキ)暖冬だと年末から。
Birke (シラカバ)4月が最大のピーク。強力。
Esche (西洋トネリコ)4月〜5月に集中。
Buche (ブナ)5月前後に一気に飛ぶ。
Eiche (オーク)5月が中心。
Ulme (ニレ)3月〜4月、葉が出る前。
Pappel (ポプラ)綿毛が飛ぶ少し前が花粉。
Weide (ヤナギ)種類により3〜5月。
Gräser (草全般)期間が非常に長い。
Roggen (ライ麦)5月下旬〜6月がピーク。
Ampfer (スイバ)夏の草花粉の代表格。
Wegerich (オオバコ)夏の間ずっと飛散。
Beifuß (オウショウヨモギ)秋の花粉症の主役。
Ambrosia (ブタクサ)8月〜10月と遅くまで。
(凡例: ◎=ピーク、 ○=飛散、 ●=暖冬時に飛散の可能性あり)

検査と治療の選択:3年越しの注射か、セルフケアか

数年前、皮膚科でパッチテストを受けたところ、検査リストにある植物の約8割に陽性反応が出ました。 医師からは、3〜4週間おきに約3年間通院する「減感作療法(アレルゲン免疫療法)」の注射を勧められましたが、検討の末、私は以下の理由で見送ることにしました。

  • 数年間にわたる定期的な通院の負担
  • 効果の持続性に個人差があること
  • 効果が切れた際の再治療の可能性

通院の代わりに目薬、鼻スプレー、内服薬を常用し、自宅では鼻を洗うなどのセルフケアを中心に凌いでいます。

最近では、カルダモンが花粉症に効く?という投稿を目にして、今月から始めてみました。まだ効果は確認できませんが、とのかく10週間は続けてみようかなと考えています。

ドイツのアレルゲン植物図鑑(備忘録)

私が使用しているアプリのデータに基づき、ドイツで代表的なアレルゲン植物をまとめました。いけばなの花材として馴染み深いものも含まれています。

ブタクサ属
Ambrosia / Ragweed

キク科の一年草。日本でも秋のアレルギーとして有名ですが、ドイツでは春から夏にかけて開花します。

葉っぱがヨモギより細かく、シダのような形をしています。夏から秋にかけて、直立した茎の先に黄色いツブツブの花をたくさんつけます。

スイバ属
Ampfer / Sorrel

タデ科。世界に約130種もあり、ギシギシやスイバが代表格。見分けるのが困難なほど多種多様です。

オウシュウヨモギ
Beifuß

学名 Artemisia vulgaris。キク科ヨモギ属の多年草。ドイツでは料理のスパイス(Gewürzbeifuß)としても知られます。

葉の裏が白く、茎が赤紫色。花は小さく地味ですが、スッとした立ち姿が美しいです。道端や空き地に自生しています。

カバノキ属
Birke / Birch

シラカバの仲間。この花粉症があると、リンゴで口腔アレルギーが出やすいため注意が必要です。

代表的なのはシラカバ、もしくはカバノキ。

白い幹が最大の特徴。春先に枝先から「細長い芋虫」のような茶色い花(尾状花序)が垂れ下がっていたら、それが花粉の塊です。

ブナ属
Buche / Beech

ヨーロッパブナ (Fagus sylvatica) が代表的。欧州の森を象徴する広葉樹です。

幹がツルツルしたグレーで、森の中で一番堂々としています。花は丸っこい毛玉のような形をしていて、高い枝にあるので望遠レンズが必要です。

オーク / ナラ(コナラ属)
Eiche / Oak

秋にはドングリが実る樹木。ドイツの風景には欠かせませんが、花粉もしっかり飛びます。

葉っぱの形が「波打った形」で独特。花は地味ですが、若葉が出るのと同時に黄緑色の房がバラバラと垂れ下がります。

ハンノキ属
Erle / Alder

セイヨウハンノキ

暖冬の際、真っ先に花粉を飛ばす主犯格。あの独特の花の形を見るだけで、くしゃみが出そうです。

冬の終わり、葉が出る前に赤茶色の長い花をぶら下げます。水辺や湿った場所に多いです。松ぼっくりを小さくしたような去年の実が一緒に残っていることが多いです。

トリネコ属
ESCHE / ASH

モクセイ科トネリコ属。ドイツ語でEsche、学名は Fraxinus excelsior です。ドイツの森や公園、街路樹として非常によく見られる高木で、カバノキ属などと並んで春の主要なアレルゲンとして知られています。

草・牧草
Gräser

いわゆる「雑草の花」です。カモガヤ(Knäuelgras)などは、道端で紫がかったボコボコした穂をつけています。逆光で撮ると花粉が舞うのが見えることも。

ハシバミ属
Hasel / Hazel

セイヨウハシバミ。ヘーゼルナッツの方が馴染みがあるかも。

ヘーゼルナッツが実る樹。1月から飛び始めることがあり、ハンノキと並んで「春の先触れ」的なアレルゲンです。

ハンノキに似ていますが、花がもっと明るい黄色〜黄緑色で、1月〜2月の寒い時期に一番早く目立ちます。低木なので目線の高さで撮りやすいです。

ポプラ
Pappel / Poplar

夏の強い日差しを遮る美しい樹木ですが、アレルゲンの一種。草原に並ぶ姿はフォトジェニックなのですが……。

ライムギ
Roggen / Rye

栽培面積が広く、初夏のライ麦畑のそばを通るのは命がけ(?)です。雨上がりを狙って写真を撮りに行きます。

イネ科の中でも穂が長く、青みがかった緑色をしています。風に吹かれて波打つ姿は非常にフォトジェニック。花粉が飛ぶ時期は穂から小さな「しべ」が飛び出しています。

ニレ
Ulme / Elm

風景画の定番。街路樹や公園に多いため、意識せずとも写真に写り込んでいることが多い樹木です。

オオバコ属
Wegerich / Plantain

世界中に約200種。踏まれても強い生命力を持つ分、どこにでもいて逃げ場がありません。

地面から細長いツクシのような穂がスッと立ち上がります。その穂の周りに白い小さな花(しべ)が輪っかのように咲く瞬間がシャッターチャンスです。

ヤナギ
Weide / Willow

いけばなで使う赤芽柳や猫柳も実はアレルゲン。お稽古中にくしゃみが出始めたら、要注意ですね。

あの可愛い「猫の毛」のような部分から、黄色い粉(花粉)がびっしり出てきた状態がアレルゲンとしての全盛期です。ふわふわの時期を過ぎた、少し黄色くなった姿をマクロで撮るのも面白いかもしれません。

まとめ

検査リストには、日本でメジャーな「スギ(Zeder)」が入っていないことも興味深い点でした。その土地の植生によって、悩みの中身も変わるのですね。

ドイツの道端や森で見かける植物たち。アレルゲンではありますが、レンズ越しに覗くとそれぞれに美しい個性があります。

似ている植物同士を「見分け方の比較図」にしてみました。お散歩中に「これかな?」と思ったら、ぜひチェックしてみてください。

ドイツの花粉症の原因となるブタクサ、ヨモギ、スイバの比較イラスト
ドイツの主要なアレルゲン草本(左からブタクサ、ヨモギ、スイバ)。葉の裏の色や、穂のつき方に注目です。
ドイツの樹木比較:ブナ、オーク、ニレの樹皮、葉、実の違い
アレルゲン樹木の識別ガイド:Buche(ブナ)、Eiche(オーク)、Ulme(ニレ)。特にニレの葉の「左右非対称」な形は、見分ける際の大きなヒントです。

風に舞う花粉すらも季節の移ろいの一部として、愛しみながら(……でも対策は万全に!)この季節を乗り切っていきたいと思います。

次にお稽古で手にする枝物が、くしゃみの原因でないことを祈りつつ。

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